前回よりの続き・・・
藤内小屋で復旧作業をしていたら、ある男の人が「5合目と6合目の間付近で、助けてという声を聞いて、行ってみると、女の人が倒れている、自分はどうしたらいいのか分からないので、急ぎ知らせに来た。助けてやって・・・」との第一報が入りました。さらに詳しい話を聞くと、救難要請の連絡はしたらしい。さらに出血は後頭部からで、意識はあるらしい。連れの女の人は、ショックなのか何をしたらいいのか分からない様子。等々、大凡の様子が分かったので、取りあえず救急薬品やロープ、清水などを持って、知らせに来た人に現場まで案内してもらうことにしました。あとから2?3人、自力搬送の可能性のあるので、空ザック等を持って来てもらうように依頼して出発しました。
兎の耳(岩峰)を過ぎ、藤内沢出合を越えていくと現場はもうすぐ。「おーい、大丈夫だぞ・・・」と声をかけながら現場到着。それにしても急いで登ってきたので、しんどいこと、しんどいこと。そんなことは言っておられず、とにかく負傷者の様子を見たら、思ったほど重くはなく、出血も少ないようで意識もあったので、安心しました。すぐに水で患部を洗い流し、三角巾などを使って止血および包帯を行う。さらに負傷者をリラックスできる場所に移動して、出来るだけ楽な姿勢を取らせました。次いで現場にいた人たちからこれまでの経過等の情報を聞きました。すでにレスキュー隊には連絡済みで、救難ヘリが現場に向かっているようなので、レスキュー隊員や負傷者つり上げが出来る場所まで移動しなければなりません。上の方に上空が空いている場所があるので、そこまで移動することにしました。負傷者は、手足は動かせられるのだけど、かなりショックを受けているようでした。ハーネスなどがないのでロープで負傷者をボーラインでつなぎ、ショートローピングでゆっくり登らせました。そして、ヘリによる引き上げ可能な場所まで移動した後、再び楽な姿勢でレスキューヘリを待つことにしました。ここまでは、登山ガイド及び日赤救急員としての義務を果たしたつもりです。

いよいよヘリ到着。レスキュー隊員が降りてきます。その時の風の強いこと!周囲の砂利や葉っぱ、小枝などが飛ばされ、当たると痛いのです。レスキュー隊員に応急処置の事や、おおよその現状を伝え、すぐその場から待避。ヘリから引き上げ用の担架が下ろされると、もう一度お手伝い。負傷者を担架に収容し、搬送先を聞いた後、またその場から待避。負傷された方は、無事にヘリへ収容完了。

取り合えずこれで一安心。負傷された人の相方に今後の連絡など対応について説明し、一緒に小屋まで降りました。今回は比較的軽傷で済みましたが、登山中に遭難事故に遭うケースは多くなってきています。気をつけていても事故は起こるものです。万全かつ用意周到で登山をしなければならないのですが、緊急事態発生の時、いかに迅速で安全で的確な行動がとれるかも大切なことでしょう。登山ガイドや救急員の資格を取るとき、一生懸命まじめに取り組んだことが今回は役に立ったと思っています。
山楽塾 http://www.sanrakujuku.com/
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はいいろはちゃんとできるかどうか自信ないです...
ふだんからイメトレしとかないとですね